スリッページとは注文通りに約定されず、約定価格がずれることです。
少しでもスリッページの発生を減らしたいのであれば、高い約定力を持つ業者を選ばなければいけません。
また、スリッページの許容範囲を設定することで予想以上のマイナスを回避することができます。
そこで今回は、スリッページが発生する原因と回避方法、スリッページ設定方法を解説します。
スリッページとは?スリッページの特徴
スリッページとは「注文価格と約定価格の差」のことで、新規注文に限らず決済注文であっても起こる可能性があります。
一般的にはスリッページは不利な約定になり、注文レートや決済レートなどがずれてしまう結果、利益が減ります。
スリッページは狭いスプレッドであっても、頻発してしまうと取引コストが増大するので、「見えないコスト」とも呼ばれているのです。
例えば、1ドル110.0円の通貨に買い注文を入れたとします。
1ドル110.30円の決済注文を入れたのに、実際に約定したのが1ドル110.25円だとします。
この場合、5pipsのスリッページが発生したということになります。つまり、2pips損したことになるのです。
スリッページの原因
スリッページは自然に起こる場合と、FX業者が意図的に起こしている場合があります。
スリッページが発生する原因を3つ見ていきましょう。
スリッページの原因①レートの動きが大きいため
通貨のレートは常に変化し続けているので、注文してから時差が生まれます。
注文が業者に届くまでの間に時差が生まれて、短い間にレートが変わりスリッページが発生してしまうのです。
特に取引をレートの動きが大きい通貨ペアで行っている場合や、経済指標発表前後や早朝のようにレートの動きが大きくなっている時に起こる傾向があります。
スリッページの原因②システム強度の弱さ
FX業者ではシステムでユーザーからの注文を処理しています。
導入しているシステムの強度が弱いと、注文が集中した際に通信に遅延が発生します。
通信が遅れている間にレートが変わり、スリッページが発生しやすくなるのです。
システム強度の弱さが原因となって起こるスリッページは、新規ユーザーが増え続けシステムが追い付いていない業者で発生する傾向があります。
また経済指標発表前後やテロ、自然災害などの発生直後には注文が集中しやすいため注意しましょう。
スリッページの原因③業者による意図的な発生
業者によっては取引方式として相対取引を行うDD方式を採用しています。
DD方式の場合ユーザーが負けると、その分FX業者儲けるのです。
一方ユーザーが勝った場合にはその分FX業者が損をする仕組みになっています。
上記の理由から、DD方式を採用しているFX業者の中にはスリッページを意図的に発生させている悪質業者もあるのです。
しかしDD方式を採用しているFX業者は基本的に独自の取引ツールを採用しているので、スリッページが発生した際にFX業者が意図的に行ったものなのかユーザー側では判断できません。
スリッページの対処法
スリッページを回避する3つの方法について詳しく解説します。
スリッページの対処法①約定力の高い業者を選ぶ
スリッページが発生する確率は、FX業者の約定率で判断が可能です。
「100回の注文のうち何回注文を成立させられるか」という確率を示すのが約定率で、約定率が99%であれば100回の注文のうちに99回は意図した通りの注文が成立します。
約定力とは、意図した通りに注文を成立させる能力のこと表しているのです。約定率の高さは約定力の高さに関係しています。
多くのFX業者が約定率を公開しているため、99%以上の約定率を持つFX業者を探してみましょう。
スリッページの対処法②NDD方式の業者を選ぶ
ユーザーからの注文を受けたFX業者が、そのまま注文をインターバンク市場に流す取引システムがNDD方式です。
ユーザーのマイナスがFX業者の利益になるDD方式と違い、NDD方式でFX業者の利益になるのは取引ごとにユーザーが支払うスプレッドです。
そのためNDD方式を採用しているFX業者であれば、意図的にスリッページを発生させる可能性は限りなく低いです。
NDD方式の場合は、ユーザーが取引を行うほどスプレッドで儲かるのです。そのためユーザーの取引への意欲を下げる意図的なスリッページを発生させる必要がありません。
またFX業者は「国内に拠点がある国内FX業者」と「海外に拠点がある海外FX業者」の2種類に分けられますが、多くの国内FX業者がDD方式を採用しています。その一方で海外FX業者は高い確率でNDD方式を採用しているのです。
NDD方式での取引を希望するのであれば、海外FX業者を選ぶようにしましょう。
スリッページの対処法③指値注文にする
多くの海外FX業者では指値注文でスリッページが起こることはありません。
- 成行注文
- 逆指値注文
逆指値は損切りに使用される場合が多く、スリッページによって指定したレートよりも、さらに大きいマイナスを抱えた状態で決済する場合もあります。
しかし、指値注文では買い注文ならば現状よりも安い価格で注文を出し、売り注文ならば現状よりも高い値段で注文を入れます。
現状よりも有利なレートでの取引を希望する時に使用するのが指値注文です。
指値注文だと売買は指定したレートに達した時点で行うのですが、逆指値注文の場合、売買は指定したレートに達した時点で成行注文を出して行うのです。
逆指値注文では、指定したレートに達した時点で売買相手を探すことになりますので、注文と決済のレートがずれスリッページが起こるのです。
スリッページの対処法④回線を速くする
トレード環境がスリッページしやすいのか考えることも必要です。
もしもインターネットの回線が安定し速度の速いところの場合、取引で時差が生じる可能性は小さくなるのです。
その一方で、インターネット回線が不安定で通信が遅いところだと、時差によりスリッページも大きくなる可能性が否めないのです。
時差が生じやすい状態だと、スリッページ設定に許容を持たせなければすぐには約定しないため気を付けてください。
スリッページの許容範囲を設定しよう
スリッページ設定をすることで自分が許容できる範囲以上のスリッページが発生した時に、約定を不成立にさせることができます。
スリッページを「10×0.1pips」で設定したのであれば、スリッページの許容範囲は「1.0pips」と設定されます。
スリッページ許容幅設定の値は、取引の方法や相場の状況に合わせて変えていくのがおすすめです。
相場の値動きが小さければ、スリッページ設定の値は小さく設定する方法があります。
- 値動きの小さい相場…0~0.5pips
- 値動きの大きい相場…5~10pips
- スキャルピング相場…0.3pips以下
ドル円やドルユーロのペアのように、安定性の高い通貨ペアであれば0pipsのスリッページ許容幅で問題ないです。
スキャルピングのように取引回数が増えてくると、スリッページは危険であるため最大0.3pipsくらいまでに抑え取引を行うことをおすすめします。
スリッページ設定のデメリット
スリッページの設定をすると損切りができなくなる
スリッページの設定し定期的に取引を実施していると損切りをできなくなります。
損切をする際にはスリップ幅の指定をせず、成功注文を通常通りに行うことが大切なのです。
スリッページを設定し取引を行う場合に、初めてであればデモトレードを利用することをおすすめします。
デモトレードはリアルトレードと同じ取引ツールを使用して取引が行えるので、デモトレードでの取引を通しスリッページに慣れることが可能です。
特にスキャルピングのように1日に何回も取引を行うようなトレードであればスリッページの重要性は高くなるので、前もって慣れておく意味でもメリットがあると言えます。
スリッページにより発生する損失は、相場の動きが小さい時であればあまり発生しません。
しかし重要指標の発表や世界規模で経済が動くできごとがあった際には予想しないほどに大きく値動きする場合があり、この時点で注文するとスリッページする可能性は高くなるのです。
スリッページの許容幅が狭いと約定率は下がる
スリッページの許容範囲は、狭くなるにつれて約定率が下がる関係にあります。
特にスリッページの許容幅0pipsと許容幅1pipsの場合は差が大きいです。
スリッページの許容幅が0pipsの時に約定率が80%のFX業者は、スリッページの許容幅を1pipsにすることで約定率が90%以上になることもあります。
スリッページの許容幅が小さいと、スリッページによるマイナスを受ける危険性は小さくなります。
しかしその反面で、スリッページが少しでも発生したら約定しなくなるため、注文がなかなか入らないデメリットもあるのです。
海外FXのように追加でスキャルピング注文を入れて約定させる方法の場合、注文が効率よく入らないのは致命的と言えるでしょう。
スリッページの許容幅が0であるのが望ましい一方で、約定失効率がおよそ20%以上になるのであればスリッページの許容幅は1以上で設定していかなければいけません。
ただしスリッページの許容幅を広げると、スリッページが発生した際に生じるマイナスは大きくなるのです。
スプレッドが狭いとスリッページが発生しやすい
スプレッドとは「買値と売値の差分」のことです。注文した時点でスプレッドは発生し、一定のマイナスになります。
取引コストを節約するためには、スプレッドは小さければ小さいほどいいのです。
しかしその反面で、スプレッドが狭い海外FX業者はスリッページが起こりやすい傾向があります。
「スプレッド+スリッページ+取引手数料」が取引のトータルコストになるので、スプレッドが狭いFX業者はコスト回収のために意図的なスリッページを起こすのです。
一見すると無関係のように見えるスプレッドとスリッページですが、スプレッドが狭い場合でもスリッページが多発してしまっては意味がないと言えます。
海外FX業者選びでスプレッドに注力する人も多くいますが、取引コストでFX業者を選定するのであれば、スプレッド+スリッページ+取引手数料のトータルを重要視しましょう。
国内FX業者はスリッページが発生しやすい
注文通りに約定させることができなければ約定力は下がります。
スリッページが頻発するにつれて約定力が下がるので、スリッページが発生しやすい国内FX業者は海外FX業者と比較すると約定力が低い傾向にあるのです。
また注文とは異なるレートで提示されるリクオートや、注文したのに拒否される約定拒否なども約定力を下げる原因です。
中には約定力の高さをアピールする国内FX業者もあるのですが、提示されるレートをずらしているような場合もあるため、DD取引では約定力の高さに対し必ずしも信頼性があるわけではないのです。
FX取引を行うトレーダーにとって、約定力はとても重要です。
FX業者を選ぶ際に、取引手数料の低さで選定するトレーダーも少なくないのですが、どれだけ取引の際に発生する手数料が低く設定されていたとしても、注文通りに約定されなければ意味がないのです。
そもそもチャートを見て注文したにも関わらず、スリッページでは他のレートで注文されてしまいます。
この場合プラスになるのですが、損失側でスリッページが発生するとマイナスが大きくなってしまうのです。
FXスリッページの意味とは?スリッページ設定方法と滑る3つの原因と対処法まとめ
スリッページは、許容幅を設定することや約定率の高い業者を選ぶことで回避できます。
約定率が高いFX業者だと、スリッページが起こることそのものが少ないため相対的にスリッページの幅を狭く設定し投資できます。
約定力が高い業者として「GEMFOREX」がおすすめです。
0.78秒以内に99.79%の約定を実現して、スリッページが少ないだけではなく、「約定拒否」や「注文したレートと違うレートを提示されるリクオート」などもほとんどなく安定した取引を行えます。
さらに業界トップクラスのスプレッドを実現しているため、取引コストがとても抑えられる点も魅力と言えます。