FXのニューヨーク時間とは、ニューヨーク市場が開いている時間のことを指します。
- 夏時間…日本時間21時~翌日6時
- 冬時間…日本時間22時~翌日7時の時間帯
FXでは、東京時間、ニューヨーク時間、ロンドン時間の3つの時間帯が存在しています。
開場している市場がある地域名を時間の名前として使用しているのですが、3つの時間の中で最も多く動く時間がニューヨーク時間です。
ニューヨーク時間はFX取引において最も大切な時間と考えられ、大勢の市場参加者がニューヨーク時間で取引しています。
そこで今回は、FXのニューヨーク時間のトレード手法は?アメリカ時間の特徴と戦略を解説します。
ニューヨーク時間とは?最も値動きが多い市場のこと
引用|外為ドットコム
ニューヨーク市場は参加者が多く大切な指標発表が多いことにより、最も規模が大きい市場と思われがちです。
しかし、ニューヨーク市場の取引高は世界第二位で、世界第一位の規模を持っている市場は実はロンドン市場なのです。
国土が広いアメリカは東海岸や西海岸のように地域ごとに時差があるので、ニューヨーク時間はニューヨークのある東海岸の時間に合わせています。
そのため、ニューヨーク時間と日本時間では、夏時間には13時間、冬時間には14時間の時差があります。
ニューヨーク時間と呼ばれている時間帯は、
です。これらの時間は市場参加者も大勢いて、とても活発に市場が動く時間となっています。
ニューヨーク時間の特徴
①トレンドが発生しやすい
ニューヨーク時間の特徴の1つとして、トレンドが継続しやすい傾向にある点も挙げられるのです。
東京時間のチャートがレンジ傾向である一方で、ニューヨーク時間はトレンドが発生しやすい時間帯です。
チャートは東京時間やロンドン時間で形づくった相場を上抜けし、上昇トレンドあるいは下降トレンドを形づくります。
このようなトレンドに逆行せずに取引を行うことが、ニューヨーク時間で利益を獲得するための基本的なポイントです。
また経済指標が発表されるタイミングや要人が発言する予定の時には、それ以前から価格が激しく変動し、発表が終了した後も上昇あるいは下降して大きくチャートが動いていく傾向にあります。
②午前中が活発である
ここまで紹介してきたように、ニューヨーク時間は中東からヨーロッパ、アメリカなどさまざまな国の市場が開場している時間であるため、取引がかなり活発に行われています。
しかしニューヨーク時間だからと言って開場してから閉場するまで絶えず活発な状態が続くのかというと、そうではないのです。
ニューヨーク時間において取引が最も活発に行われるのは、中東からロンドンまでの市場が開場している午前中となっています。
日本時間に言い換えた場合に最も活発に為替相場が動くのは、夏時間だと21時から24時まで、冬時間だと22時から翌日1時までです。
その一方で午後のニューヨーク時間は、午前と比較するとそれほど動きがありません。
そのため午後のニューヨーク時間は新しいトレンドが生まれにくい状況と言えます。
③ロンドン時間の影響を受けやすい
ニューヨーク時間に市場が活発に動いている理由として、ロンドン時間の影響が挙げられます。
先述したように、為替において世界第一位の取引高を記録しているのはロンドン市場です。
夏時間には日本時間の17時から翌日2時まで、冬時間には日本時間の18時から翌日3時までがロンドン時間となっています。
すなわちロンドン時間には一部ニューヨーク時間と被っている時間があるのです。
また、ロンドン時間はフランクフルトやパリなどのヨーロッパの一部の市場やロシアの市場と開場時間が一部被っているので、相互効果により取引がとても活発に行われています。
主要通貨に限らず、ニューヨーク時間には中東や南米などさまざまな国の通貨の取引が活発に行われています。
④スプレッドは縮小しやすい
ニューヨーク時間は取引量が増えるのでスプレッドは縮小する傾向にあります。
また、多くの投資家が活発に取引を行うので、急激な値動きが発生して利益を獲得しやすい時間にもなるのです。
ニューヨーク時間ではスプレッドの幅が狭いので利益を獲得しやすい時間帯です。
しかし、経済指標が発表されるタイミングや要人の発言でスプレッドの幅が広がる時あるので、取引を行う際にはイベントの時間を毎回しっかりと確認しましょう。
ニューヨーク時間の重要な経済指標
ニューヨーク時間には、アメリカが絡んでいる経済指標が発表されその結果影響を強く受けます。
日本人トレーダーの多くはドル円を好みFX取引を行う傾向があります。ニューヨーク時間のようなドルが関係している指標は見逃せないのです。
雇用統計
米・雇用統計は重要な経済指標で、毎月第一金曜日に発表されています。
発表された結果は為替相場に大きな影響を与えていて、特にドルが関係している通貨ペアは、米・雇用統計の結果により相場が急激に下がってしまうのです。
また米・雇用統計が発表される週は、相場の変動が少ない傾向があります。
その傾向が特に目立って見られるのは、週の半ばあたりです。
大きなニュースが報道された際には相場の変動具合は大きくなるのですが、そうでない時には米・雇用統計の発表を控え、ポジションを調整する程度の少しの動きなど、変化が小さくなります。

日本では金曜ロードショーでジブリが放送されるときに雇用統計の発表があるので、金曜に乱高下する確率が高いことを「ジブリの法則」と呼んでいます。
FOMC(米連邦公開市場委員会)
また為替相場に大きな影響を与えるのは米・雇用統計だけではありません。
その1つとして挙げられるのが、FOMC(米連邦公開市場委員会)です。
FOMCではFRBの金融政策が決定されるので、市場がとても注目しています。
FOMCは1年のうちに8回開催され、政策金利に限らず景況判断のような金融政策の方針を発表しています。
そして3月、6月、9月、12月には議長会見も行われているため、かなり注目されます。さらに後日FOMC議事録が発表されるのですが、その内容も注目度が高いです。
このようにニューヨーク時間に発表された経済指標の結果は、為替相場に影響を与える場合があるので気を付けなければいけません。
どんな結果にたどり着くのかわからないため、経済指標のようなイベントが行われる際には取引を行わないという選択肢を取るのが良いでしょう。
ニューヨーク時間の取引手法
ニューヨーク時間は1日の中で取引が最も活発に行われる時間帯なのですが、どんな取引戦略を立てて挑むべきなのでしょうか。
ニューヨーク時間で利益を獲得するために行うべき取引手法を見ていきましょう。
短期でスキャルピング手法
値動きが活発な時にスキャルピングで取りに行く手法です。
ニューヨーク時間は活発にFX取引が行われ、経済指標発表時や要人の発言が行われたタイミングで相場が大きく変動される時間帯にもなっています。
スキャルピングやデイトレードのようなFX取引を主に行う投資家たちにとってはかなり魅力的な時間帯といえます。
スキャルピングで取引を行うとしたら、通貨の価格変動率の大きさを考えたうえで取引を行う必要があります。
例えば、ポンドドルのような価格変動率の大きい通貨を活かして、スキャルピングを行うトレーダーもいます。
ニューヨーク時間に動くユーロドルとポンドドルだと、ポンドドルの方が大きな値動きがあるので、スキャルピングを行う場合に適した通貨ペアだと言えます。
ただし、ロスカットより保有ポジションが強制的に決済されないように、まとまった資金で小さいロット数での取引を行うなど、資金をしっかりと準備した状態で取引に挑まなければいけません。
トレンドフォロー手法
トレンドが出ている方向にエントリーする手法です。
機関投資家が多く参加する時間帯でもあるため、トレンドが発生しやすく長続きしやすい傾向にある時間帯です。
複数の投機筋が高額の資金を使用した取引を行うので、そこから発生した流れの後を追いかけていきましょう。
ただし、ロンドン市場が閉場する時間になると、ニューヨーク時間のトレンドは終了する傾向にあるので気を付けてください。
また、経済指標が発表されるタイミングは相場が予想外の方向に大きく変動する場合が多いので注意しましょう。
ニューヨーク時間はトレンドが発生するとその後も大きなトレンドとなりやすいため、逆張りはしないよう気を付けましょう。
レンジブレイク手法
レンジをレイクしたタイミングでエントリーする手法です。
ニューヨーク市場が開場する直前に、1時間足や15分足で高値と安値をチェックしてボックスを確認しましょう。
ボックスとはその中で値動きを繰り返すことです。
ニューヨーク時間の開始後、作成したボックスを終値が上抜けしたのを確認できた時に、順張りでエントリーを行いましょう。
上方向に抜けたのであれば買いでのエントリー、その逆で抜けたのが下方向であれば売りでのエントリーです。
ニューヨーク時間は午後になると、経済指標の発表や要人発言など注目すべきイベントがなければ、レンジ相場へと移行する可能性が高いです。
ニューヨーク時間の通貨ペアの動き
動きが大きくなる通貨ペアの種類などを前もって把握しておき、戦略を立てて勝率の高い取引を行っていきましょう。
ドルストレート
ニューヨーク時間で活発に取引が行われるのは、ドルが関係している通貨ペアです。
そのためドルストレートの通貨ペアを取引しておくのが良いでしょう。
多くの日本人トレーダーが大きな値動きが発生するニューヨーク時間を選んで取引を行うことから、クロス円の通貨ペアだとしても、ユーロ円やポンド円は活発な値動きになりやすい傾向があります。
ユーロドル
ニューヨークの午前中は、ユーロドルの値動きが大きくなるのです。
ユーロドルは取引量が大きい通貨ペアであるためレンジ相場になることもあるのですが、レンジを抜けた後には長期間トレンドが継続する傾向があります。
またユーロ円はドル円とは逆相関になる場合が多いです。そのためドル円が円安方向になり上昇している時に、ユーロドルはユーロ安になり下降することもよくあります。
ポンド円
ポンド円であれば、途中の一時的な反転だとしてもその価格変動率の大きさから激しさを増していきます。
そのため小さい値動きで利益を獲得するために、大きなロット数でFX取引を行うケースが多いスキャルピングでは、ロスカットにならないように資金の状態を潤してから取引に挑まなければいけません。
また値動きが激しいため、利益が発生したら即座に反対売買で決済して取引を終了させましょう。
ポンドが関係している通貨ペアに関しては、深追いしないように注意が必要です。
ポンドドル
ニューヨークの午前中に頻繁に取引される通貨ペアはポンドドルです。
ポンドは値動きが激しい通貨なのですが、対ドルだとしてもそれは変わりません。
ポンドドルはトレンドがはっきりとわかる時でもあるのですが、価格変動率が高いのが特徴的です。
ニューヨーク時間は初心者は避けるべき
ニューヨーク時間はトレンドが発生しやすい時間なので、東京時間と比較すると大きな値動きが生まれやすい時間帯でもあるのです。
そのため東京時間に比較すると、短時間で大きな利益を獲得しやすいメリットもあります。
しかし、その一方で値動きが大きいことでFX初心者にとっては難しい時間とも言えます。
FX経験の浅いトレーダーがニューヨーク時間に取引を行うと、激しい値動きに翻弄される場合が多いです。
特にチャート分析技術をしっかり習得できていないうちは、ニューヨーク時間で取引を行うのはやめておきましょう。
最初は動きが穏やかな東京時間でFX経験を積んで、取引に慣れてきてから改めてニューヨーク時間でのFX取引に挑戦することをおすすめします。
ニューヨーク時間のオプションカット
ニューヨーク時間で通貨オプションの権利を行使して取引を行う場合、最終締め切り時間に注意してください。
ニューヨーク時間での通貨オプションの権利行使の最終締め切り時間は、夏時間だと日本時間の23時、冬時間だと日本時間の24時です。
オプションカット前から攻めやら守りやらが繰り広げられているので、激しい動きに変化する場合があります。
オプションカット時間に近いタイミングに注文が入るのは、基本的にはオプションが多く入っているレート付近です。
オプションの買い手に加えて、本能的に動きに感づいたほかの市場参加者による注文もあります。
上記の理由からオプションカット時間が近付くと、相場の動きがオプションがたくさん入っているレート付近に向かいやすくなるのです。
オプションカット時間を過ぎてしまえばそれ以前の攻防戦に使用していたポジションを解消するトレーダーが増えるので、上昇から下降に移り変わるなどトレンドが変化することもよくあります。
FXのニューヨーク時間のトレード手法は?アメリカ時間のニューヨーク市場の特徴と戦略まとめ
ニューヨーク市場は最も活発に取引が行われる市場なので、FX業界の中心的存在を担っています。
そのためFX業界において最も重要な時間帯も、ニューヨーク市場が開場しているニューヨーク時間だといわれているのです。
ニューヨーク時間は市場が大きな影響を受けるアメリカの経済指標の発表時間帯と被っているので、その瞬間はさらに値動きが激しくなる傾向があります。
勝率が高くチャンスがある一方くで、失敗した際に同じくらい大きな損失を受けてしまうのでFX経験が浅い初心者レベルの段階ではニューヨーク時間で取引を行わないのがおすすめです。
FX取引を思いきり楽しめるニューヨーク時間で、勝率の高い取引を目指してみてください。